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2011年06月07日(火)

■『消費税増税は単一税率で段階的引上げを提唱』

 5月30日に開かれた社会保障改革に関する集中検討会議に、田近栄治一橋大学国際・公共政策大学院教授が「消費税の税率構造のあり方及び消費税率の段階的引上げに係る実務上の論点について」を提出、今後の社会保障を支える税制のあり方を考えると、広く薄く全世代が負担し、税収が安定的な消費税の役割は益々重要であり、消費税を含む税制抜本改革の実現により安定財源を確保していくことが必要との認識を示した。

 資料では、現在、消費税(国分)を充当するとしている高齢者3経費に対し約10兆円の財源が不足し、将来世代に負担が先送りされている状況がある中、社会保障の安定・強化と財政健全化を同時に達成することが極めて重要で、社会保障と税の一体改革の議論を進める上で、消費税の逆進性(複数税率)や税率の段階的引上げの影響に係る実務面をはじめとする具体的な論点について、あらかじめ一定の整理を行っておくことが有益とした。

 この中で、消費税率のあり方、特に複数税率の設定は、

1)単一税率の場合と比べて税収減をもたらす、
2)事業者の事務負担や当局の執行コストを増加させる、
3)逆進性対策の観点からも、軽減税率の効果は高所得者にも及ぶことから効率的ではなく、低所得者向けの給付措置など、より有効な方策が考えられる、
といった観点から、軽減税率の導入や非課税範囲の拡大よりは、課税ベースの広い単一税率が望ましいとしている。

 また、今後の中長期的な社会保障の見通し等を見越して相当程度の消費税率の引上げが必要になることを考えれば、段階的に税率を引き上げていく必要があり、具体的な引上げのあり方については、マクロ経済に与える影響のみならず、税率の変更が値札の張替えやシステム変更など事業者の納税事務コストを増加させることから、引上げ回数が増えることが事業者の事務負担に与える影響にも留意しつつ、検討することが必要としている。

提出資料は↓
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai9/siryou3-5.pdf

■『税源争い本格化へ「税と社会保障の一体改革」』

 「税と社会保障の一体改革」を目指す政府の集中検討会議は6月2日、子ども・子育て支援、医療・介護、年金などに対する対策とその財源的裏づけとなる消費税率について2015年度までに段階的に10%に引き上げることなどを柱とする改革案を決定した。

 改革案には総花的で給付抑制策を欠くなどの批判が早くも出ているが、今後、論点のひとつとなりそうなのが消費税率を引き上げる場合の国と地方の税源配分だ。

現在の税率は国と地方で4対1だが、これまでも税源移譲を求めてきた地方側にとって今回は絶好のチャンスというわけだ。

 全国知事会は5月31日、社会保障制度は地方が主体で対人サービスを担っており、制度化されたばかりの「国と地方の協議の場」で改革案を協議することを求めるとともに、財源については地方単独事業を含めた社会保障制度全体額による試算を行ったうえで税源の偏在性が小さい地方の安定財源を税制改革のなかで確保せよと迫った。つまり、消費税率を引き上げるなら地方に多く配分せよということだ。

 鳥取県知事を2期務めた片山善博総務相も現職閣僚でありながら、地方単独事業について課税自主権の拡大による税源確保で財源調達することを検討するとした改革案を「全く現実的でない」とばっさり切り捨て、「地方消費税をはじめとする地方税財源で確実に保障することが不可欠」だとする意見書を集中会議に提出した。

 そのうえで、過去の地方消費関係税である電気税・ガス税、料飲税が整理されて現在の消費税が創設されたことにふれ、「この経緯を無視して地方消費税までも福祉目的税財源に特化することを自治体側が容認することは断じてない」と強い調子で牽制した。多くの国民にとって、どちらが配分を多く受けるかに関心はないだろう。

だが地方分権を展開軸に、国と地方のつばぜり合いはここでも表面化しようとしている。